中国の内陸部「重慶」で実現した、敷地面積31.5hr、延床面積66万2千㎡の大規模な住宅開発である。
計画は、60~100mのタワー型住宅を中心に、オフィス、SOHO、商業施設等で構成されるが、計画地は重慶の中心街(開放碑中央商務区)から約10km離れた起伏のある変化に富んだ地形であった。
急ピッチで近代化を進める中国では、住宅の販売競争は激しく、ランドスケープデザインを含めた住環境に対する要求水準も高い。また一般的に中国の集合住宅は、全ての居室や台所、浴室等の水回りは、自然換気、自然採光が原則で、それは個人住宅をそのまま積み重ねたようなものである。計画はこの中国の住宅事情の調査と同時に、計画地重慶の環境特性を把握することから始まった。
この大規模開発のコンセプトは「保留原地形」である。それは波打つような変化に富んだ地形を、一旦均して宅地化するのではなく、その地形を極力活かそうとするものである。この地形を活かすために、住棟は全て26棟のタワー(15棟/X型100mと11棟/H型60m)で計画している。これにより住宅地の随所にこの「保留原地形」が効果的に顔を出し、わずか2タイプのタワー型住棟で構成しているにも係わらず、それを全く感じさせないものになり、住棟間隔を十分確保した見通しの良い、群造形の魅力的な住環境が実現した。