建物の寿命は、年々変化する「社会的」「物理的」「経済的」要因に追従できず、解体されることが一般的と考えられています。
「社会的要因」は、法改正に伴う既存不適格、少子高齢化や働き方改革にともなうニーズの変化、低炭素化の対応、IT技術(DX・AI)革新。「物理的要因」は、経年劣化に伴う性能・安全性低下、修繕しても目的を達成できない限界、老朽化による陳腐化。「経済的要因」は、社会的要因にも関連する資産価値変化、物価変化、維持管理費、光熱水費などがあります。
長寿命化建築を目指すためには、単に「サスティナブル(持続可能)建築を目指す!」だけではなく、さらに「年々変化するさまざまな要因に対し、どこまで柔軟に追従・対応できるか!」を設計に反映させることが重要となります。
低炭素化を目指すために、「スクラップ&ビルト建築」から「建築ストックの長寿命化」へ!
従来建築(約50年で建替え)と長寿命建築(100年)のとライフサイクルCO2排出量は、解体・建替えに伴うCO2排出量の割合が大きく、長寿命化建築とすると約20~30%の削減効果があると言われております。さらに、解体時の廃棄物処理,建替時の建築資源消費など、社会・環境的にも影響があると考えられます。
経済的な側面で考えると、今後の労働人口の減少や資材の高騰による建替建設費の増大が予測されており、建設投資における長寿命化は重要な課題と言えます。
長寿命化建築の設計は、建物のライフサイクルを考慮し、建物要求の変化に柔軟に対応できる設計が求められます。久米設計は、新築設計時において、将来のリニューアル・リノベーション・コンバージョンを考慮した最適なバリューアップを提案します。
①躯体の健全性
建物を永く使い続けるには、まずは躯体が健全な状態を維持できることが必要です。そのために高耐震設計や免震化によって地震などによる損傷を減らす工夫を検討します。
②建物要求水準の維持
建物性能は、建設(新築)時より向上する建物要求に反比例して低下していく傾向となります。建物のライフサイクルは、これら年々広がる建物要求との乖離(性能低下)を解消するため、「リニューアル※1」「リノベーション※2」が実施されます。
※1 リニューアル:原状復帰
※2 リノベーション:新たな価値を追加
③建築ストックの活用
老朽化や社会の変化により機能を終えた建物を有効利用することは非常に重要です。解体や廃棄ではなく、「コンバージョン※3」などの効果的な改修を行うことで、建物に新たな価値を与え、再生することができます。
※3 コンバージョン:新たな用途に再生
建物の機能を維持するためには「安全性」「耐久性」「メンテナンス性」「可変性」「更新性」「環境保全性」の6つの視点が必要といわれています。
久米設計ではこの6つの視点に「快適性・愛着・誇り」という“もう1つの視点”を加えることで、ユーザーの皆さんに愛され、永く使い続けられる建物をつくります。