当地区はバブル経済期に地上げが横行し、地域コミュニティーが崩壊の危機にさらされていたが、地元住民が住民主導の街づくりへとつなげていった。当計画は地域コミュニティーを人工地盤上に再生させる目的で、低層棟の屋上に、周辺街路と繋がる坂道や豊かな緑や広場、お稲荷様などを残した。そこに横丁の路地や専用庭をもつ戸建て住戸群を設け周辺の街並みと連続する段状に連なる緑の丘を形成して周辺環境への圧迫感の軽減、日照確保を配慮した。また大型スーパー、次世代を担う子どもたちを育む認定子ども園、権利者店舗を配し、街並みのにぎわい創出に貢献するとともに、広場とともに新旧住民の交流の場ともなっている。超高層住宅棟は、高さ方向を強調するデザインにより、ランドマーク性を高めた。竣工後間もなく、猫たちがこの路地に戻ってきたと聞く。戻ってきた地域の猫たちは、住民たちが決めた再開発のシンボルでもある。