フィルターの開発と製造を行う自動車部品メーカー東洋濾機のグローバル本社である。
眼下に天竜川を従え、浜松市をはるか遠方に臨む緑に囲まれた小高い丘の上に佇む。豊かな自然環境のもと、いかに知的生産性の高いオフィスを実現することができるかが建築計画上の課題となった。
建物外周部を「フィルターゾーン」と呼ぶ環境調整機能をもつ皮膜で包み込んでいる。必要なものを透過し、不純物を除去するというフィルターの基本的機能を建築空間に置き換えた。それは南北の吹抜けゾーンであり、トップライトのある屋根面とガラスクロス膜天井間の自然光制御ゾーンでもある。4階の執務フロアから南北の吹抜けとダブルスキンファサードを通してシームレスな視界が広がる空間構成。上階の役員フロアも執務室の吹抜けを介して一体となり、大屋根の下で大家族が一緒にいる感覚を生み出している。
外形は豊かな自然環境と対立することのない様、可能な限りシンプルなものとし、自然に溶け込み、呼応する建築を目指した。