錦江湾と桜島を南に、そして霧島連峰を北に望む、豊かな田園の一角に計画地はある。敷地は街の新しい幹線となる道路に面して190ｍの長さを有し、隣接して警察署や消防署が計画され、順次公共施設と共に街並みが整備される環境にある。
計画は、市庁舎と図書館、多目的ホール、各種会議室、教室、音楽室、小体育館等の文化活動を支える諸施設との複合施設である。200ｍ近いフロンテージは、この地域に新しい街並みを出現させることになる。単調さ、圧迫感あるいは不自由さを出来る限り避けて利用者や街を通過する人たちも含めて、その多様なアクティビティを可能にするために、連続的で開放された様々な場と豊富な表情を構築することを心がけた。
建築は、いくつもの個性を持つブロックによって、少しずつずれて特徴のある間隙を有しながら層を重ねるように並行配置されている。外壁も自立して日射しを弱めるスクリーンや奥行感、陰影を生み出すダブルウォール等の計画により、全体に重層する構成としてボリューム感を柔らげて外縁にゆるやかに接している。