国税庁の研究施設であり、教育研修施設と、それらを補完する食堂を中心とした厚生施設、学生が日々の生活を営む寮からなる。掘削土を利用した高さ3~4mの土塁を南側境界沿いにめぐらし、植栽を十分に施して柔らかな環境として周辺に接することを心がけた。広場を囲み階段教室棟と研修棟を配し、小規模に分割した閲覧スペースを持つ図書館と、食堂はサンクンテラスを介して体育館に連続している。学寮棟は南側の樹林の中に埋もれるように計画し、プライバシーを確保する落ち着いた環境とした。
全体を強固で単一の規制や形態的な繰り返しなどで一元的にくくるのではなく、ゆるやかな集合による場のあり方を求めた。内外部を等価に捉え、建築に様々な間隙を設けて自然を身近に感じさせるよう、視線や光の透過のコントロールを二重壁やスクリーン、あるいは外部のマウンドや植栽などによって行った。限定されない透明な奥行きと、柔らかな表情による場を、建築の際、周縁に重ね合わせることによって、研修施設としての一体感を得られるように心がけた。