歴史的建築の耐震改修にあたり、利用者の視界内での補強をなくすことを方針とした。第一第二体育館とも時刻歴応答解析を用い屋根面も含めた構造体全体での評価を行った。両棟とも下部構造への耐震壁の増設増厚と杭増設、屋根鉄骨部材のプレート補強や座屈に対する補強等を行うことで、スタンドの柱など、視界内での補強をなくしている。非構造部材の改修として、支持材の工夫により既存材を生かすアリーナ天井脱落防止、80mm厚スラブへの炭素繊維シート補強等を行った。岡本太郎氏他による多数の壁画はRC壁の増厚、コンクリートブロック壁への差し筋補強や炭素繊維シート補強により保全した。安全性向上として、手摺の追加、車椅子席の追加、スロープ追加、舗石平滑化等のバリアフリー化を行い、災害時に利用可能なトイレの採用など地域のレジリエンスにも配慮した。過去の改修で変えられた部位を竣工時のイメージに戻すなど、オリジナルへの敬意を持って、マスターピースの意匠保全に努めた。改修後の2021年8月に意匠的にも技術的にも秀でた戦後モダニズム建築として重要文化財の指定を受けている。
写真提供:日本スポーツ振興センター(耐震改修優秀建築賞/BELCA賞 共同受賞)