敷地は美術館全体の南端に位置し、目黒通りに面する。都心には稀有な自然を湛えるこの美術館の魅力を、より多くの人が享受できる建築とランドスケープを目指した。 建築に前庭を配置し、囲障を低く抑えたことで、文字通り垣根を超えて街路と敷地とが一体になり、パブリックな空間の広がりを生み出している。西に低く、東に破風を持ったダイナミックな曲面の屋根は、西日除けと共に隣接する創建当時からの建築との対比的調和、眺望確保を図って生まれた特徴的な形態である。この屋根によって内部に現れる曲面天井は、カラマツの製材のみで構成されている。素朴でありふれた木材だが唯一無二の有機的な空間を創り出し、周囲の自然と一体になって利用者を包み込んでいる。