久米設計は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD; Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が公表した「TCFD提言」に賛同し、
カーボンニュートラル社会の実現に向けた情報開示を行います。
私たちが創り出す建築は私たちの生活を快適で豊かにする一方で、環境には負荷を掛けてきました。
しかしながら、環境に負荷を掛ける建築はもう許されません。
これまでの建築を改めて見直し、今の先端技術や理念と融合させ、大気中のCO2削減を達成できる建築を提案していくことが必要です。
久米設計の社是である「デザインと技術の融合」に基づいた設計提案力をさらに強化し、建物が排出するエンボディードカーボンと
オペレーショナルカーボンの一層の削減に取り組んでいきます。
具体的には、以下の対策を進めていきます。
■気候関連のリスクや機会に基づく社会全体や建築業界への影響を定量的に評価し、久米設計の気候変動対応に関する情報の公開
■新築プロジェクトにおけるエンボディードカーボンとオペレーショナルカーボンの数値の管理と削減の推進
TCFD提言は、事業に影響を及ぼす気候変動に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示を推奨しています。
久米設計はTCFDのフレームワークに基づいた分析および情報開示を行っています。
環境問題に関する基本的な方針および施策を「サステナビリティ会議(議長:取締役社長)」で審議しています。
当会議は取締役およびGX関連の執行役員・本部長などで構成され、気候関連のリスクと機会の特定と評価の結果を審議するとともに、
設計監理業務における温室効果ガス(CO2)排出量削減目標等の達成度も管理しています。
また、これらの審議の結果は取締役会に報告され、監督する体制となっています。
事務局であるGX室がサステナビリティ会議の決定事項をもとに設計推進本部を通じて社内への啓蒙活動を行い、各本部と連携しながら久米設計の
環境目標達成に向けた活動を進めます。
2025年度より事業全体を分析対象として、気候変動に関連する「移行リスク」「物理的リスク」「機会」のうち、特に事業にとって影響度の大きい項目を特定するためにシナリオ分析を実施しました。
シナリオ分析では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき2つのシナリオ(1.5℃、4℃シナリオ)を設定し、短期・中期・長期の時間軸における事業環境の変化と久米設計への影響を評価しています。
シナリオ分析の結果、気候変動に関連する主なリスクと機会は以下の通りとなりました。
| 区分 | 久米設計の対応 | 顕在時期 | 1.5℃ | 4℃ | ||
| 移行リスク | 政策・ 法規制 |
|
法規制強化(炭素税等)に伴う コスト増加に対するソリューションの提供 |
中~長 | 大 | 中 |
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ZEBの設計手法の向上とコスト マネジメント能力の向上 |
短~長 | 大 | 大 | ||
| 評判 |
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サプライチェーン状況の把握と ソリューション提供 |
中~長 | 大 | 中 | |
| 技術 |
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低炭素建築やZEBへの改修提案能力の向上およびコストマネジメント能力の向上 | 短~長 | 大 | 大 | |
| エネルギー源 |
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エネルギー関係の情勢の把握と ソリューション提供 |
中~長 | 大 | 中 | |
| 物理的リスク | 急性 |
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環境リスク低減に向けた設計技術の確立 | 中 | 小 | 中 |
| 慢性 |
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環境リスク低減に向けた設計技術の確立 | 長 | 小 | 中 | |
| 区分 | 久米設計の対応 | 顕在時期 | 1.5℃ | 4℃ | |
| 市場 |
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低炭素製品に対する情報提供と コストマネジメント能力の向上 |
長 | 中 | 小 |
|
リニューアル市場拡大への対応の強化 | 中~長 | 大 | 中 | |
| エネルギー源 |
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再エネ・省エネ技術導入、低排出エネルギー源・ エネルギー効率性を軸にした設計技術の確立 |
短~長 | 大 | 大 |
| 製品と サービス |
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多様なニーズに対応したコンサルティングサービスの創出 ウェルビーイングを重視した設計技術の深化 |
短~長 | 大 | 大 |
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LEED+WELL取得への知識向上やソリューションの提供 | 中~長 | 中 | 小 | |
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BCP対応建築(LCB)の技術向上と展開 | 短~長 | 中 | 大 | |
| レジリエンス |
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BCP対応建築(LCB)の技術向上と展開 | 短~長 | 中 | 大 |
※LCB…BCP(事業継続計画)の考え方を発展させた、災害に強く生活が継続できる建築という独自の概念。建築物が壊れない。非構造部材(二次部材)が壊れない、落下しない。ライフラインの自主確保といった3つの方針からなる。
顕在時期の定義
・短期:1~3年
・中期:4~10年
・長期:10年~
事業インパクト評価基準
・大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される
・中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される
・小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される
久米設計は、企業活動に伴うリスクの的確な把握とその防止、または発生時の影響の最小化に努めることが、企業価値の向上と顧客に対する社会的責任を果たすことにつながると考え、本社・支社全体でのリスク管理体制を構築しています。
重要な意思決定事項に関しては、取締役会・経営会議に付議し、個別事案ごとにリスクを抽出・評価のうえ、リスクが顕在化した場合の影響を最小化するための対策が妥当であるかについて議論し、意思決定を行っています。
気候関連のリスクを含む環境・社会のサステナビリティに関するリスクについては、「サステナビリティ会議」でリスク及び機会を抽出して評価のうえ、サステナビリティ課題の特定及びその対応方針の検討を行うとともに、執行における実施状況を評価し、その結果を取締役会に報告しています。
各本部においては、業務プロセスに内在するリスクを把握し、必要な回避策・低減策を講じたうえで業務を遂行するとともに、設計推進本部および環境技術本部がリスク情報の情報を整理し、取締役会の決定方針に従い指示・監督しています。
取締役会とサステナビリティ会議が連携して管理することで、気候関連リスクとそれ以外のリスクそれぞれの評価内容を共有し、包括的なリスク管理プロセスに統合することとしています。
久米設計は、決算期毎にGHG排出量を算出し開示します。
情報開示元年である2024年度と比較対象となる2013年度は以下の通りです。
GHG排出量削減方針は、2050年までにネットゼロ達成を目標とし、2026年4月から本社の電力使用量の100%をグリーン電力に充当させるなど、
確実にゼロカーボンに向けた取り組みを実施していきます。
| 対象 t-CO2/年 | 基準年排出量 | 排出量実績 | 目標排出量 | ||
| 2013 | 2024 | 2030 | 2050 | ||
| 潮見本社 | Scope 1 | 215 | 183 | 0 | 0 |
| Scope 2 | 678 | 491 | 0 | 0 | |
| 久米設計全体 | Scope 1 | 215 | 183 | *A | 0 |
| Scope 2 | 799 | 604 | *A | 0 | |
| Scope 3 | 非算定 | 6,217 | *A | 0 | |
| 合計 | 1,014 | 7,004 | *A | 0 | |
*A 現時点では数値目標は定めませんが、排出量の管理を行います。
設計プロジェクトのエンボディードカーボンやオペレーショナルカーボンについては算定を継続しています。
国土交通省や関係省庁が検討中の「建築物のライフサイクルカーボン評価に係るルールの策定」の動向を踏まえながら、数値の開示を予定しています。