九州国立博物館は、福岡県太宰府市に東京、京都、奈良に続く4番目の国立博物館として、「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」という新しい視点から計画された建物である。
博物館の外観を特徴づける大屋根の緩やかなシルエットは、周囲の山並みに溶け込むような形状を呈している。壁面にはガラスカーテンウオールを採用し、全体をダブルスキンの構成とすることで自然環境の変化から貴重な文化財を守ると同時に、訪れる人にとって居住性の良い室内環境を形成している。
施設のゾーニングは大きく3層で構成されており、第三層に常設展示と企画展示を、第二層には収蔵、保存修復、研究および管理などの博物館の中枢部門を、第一層には文化交流関連の施設を配置した。敷地の持つ勾配を利用して、共用部の各ゾーンをスキップ状に配置し、その全体を外殻(屋根架構)で覆うことで、多層にわたる大空間を設けている。これを「インテグレーテッドフォーラム」と名づけ様々な文化活動に利用可能な場とした。
上部二層の博物館機能の部分に免震構造を採用し、大地震時の人命保護に加え、貴重な展示資料や収蔵資料を保護し、博物館機能を守る計画としている。
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▷山並みに溶け込む流線型屋根の博物館
▷良好な保存環境と省エネを両立する博物館