政令指定都市の市庁舎は、一般的な市庁舎と比べ、市民窓口業務の役割が少ない反面、行政組織の中枢として、高い機能性、安全性、防犯性などが求められる。新庁舎の計画では、一般市民の窓口業務が少ない執務エリアを機能性重視の堅牢な箱として高層棟に集約する一方で、街づくりや災害に備えた市民の意識向上と周辺の企業・団体等との連携を目的とし、街路に面して広場やカフェ、情報・イベントスペースなどをオープンな低層棟に集約することで、平常時には行政や防災情報の発信や市民の交流・連携を、災害時には情報をリアルタイムで共有できる場所としてスムーズに転用することが可能となった。
また、災害時の司令塔としての機能を強化するため、免震構造やPC現しによる執務室無天井化などの地震対策に加え、彫りの深い横連窓と日射遮蔽フィンとの組み合わせによる自然採光・自然通風など、エネルギーロスの少ない抜本的な環境建築を目指した。