警察機能の強化と防災拠点としての危機管理能力向上を目的とした警察本部庁舎の整備である。
水平に軒を重ねる京都ならではの街並みと調和を図り、開口部を抑えた大きな庇の積層により外観を構成することで警察本部庁舎としての堅牢なセキュリティーやプライバシーを確保しつつ、伝統に根ざした設えにより光や風といった外的な環境要素をコントロールすることに計画の主眼を置いている。
方角ごとに奥行きの異なる庇や、水平に絞られ、開閉が容易な開口部、光シャフトと呼ぶトップライト付きの階段室などが連携することで自然採光や自然通風を促進し、極力機械設備に頼らない施設を目指している。これらの環境手法により災害時に必要なエネルギーを抜本的に縮減する他、巨大地震への対応を意識した中間階免震の採用や非常用雨水貯留槽による豪雨時の雨水抑制、エネルギーバックアップといった機能継続対策などを防災庁舎としての取り組みとして積極的に採用している。