消防署を設計するにあたり、緊急出動時の動線距離の単純化、短縮化、各諸室相互の横連携の強化を最も重要視した諸室配置構成とした。 消防事務-休憩待機、仮眠-着装-出動発進、本部事務-災害対策室-消防団室の関係性を緊密化し、日常、災害時におけるを庁舎内の合理的な消防救急活動の関係模式図をそのまま空間に置き換えた。必要関連諸室を積み木のように組み上げ、残った隙間は、通風と採光のための外部空間や、展示体験学習コーナーを点在配置するのに利用する。機能諸室とアメニティを高める外部吹抜けと見学ルートを絡めながら、結果として署員、来館者の双方を満足させる合理的なアプローチによる開放的な庁舎施設となった。 屋上のBCP機器、訓練搭まで、場所を限定しないオープンな見学ルートを計画することで、建物全体を周回しながらの遊び心溢れる体験学習は、市民への積極的な防災意識を啓蒙する一助となっている。