旧校舎は、関東大震災後に復興小学校として整備されたものである。改築にあたっては、コの字型配置の校舎のうち、西棟、北棟、東棟をそれぞれ保存、再現、改築として計画することで、当初の景観や自然採光、通風の考え方を継承しながら、新旧をバランスよく共存、調和させた「新たな保存のあり方」を実現した。
西棟は、当時の躯体を活かしながら、耐震壁の追加、仕上げの軽量化などにより耐震性能を確保した。その上で、創建当初の仕上げや色などを調査し、可能な限り再現した。北棟は、外壁のデザインはそのままに全く新しいオープンスクール形式を採用した教室配置とし、児童の交流を活性化させる計画とした。東棟は、西棟および北棟がもっている壁柱のリズムを踏襲しながら、現代的な意匠を採用し、旧校舎になかった屋内プールを設置した。