浜松市に1966年に開園した重度重複の知的障害児のための入所施設の移転新築計画である。既存施設の老朽化に伴う移転を機に、大きな集団でのケアから、よりきめ細かなケアを目指して6人単位のユニットケア型入所施設とした。住宅棟5棟と入所者の生活を支援し日中活動の場となる支援棟とで構成される。街並みから突出しないよう、街路に面して10軒の「家」を配置した。住宅棟は、入所者ができるだけ家庭に近い環境で暮らせるよう、木造の在来軸組工法を用い、小規模な暮らしの場を提供している。支援棟は、柱・梁に構造用集成材を用いて燃えしろ設計を行い、2.73m×2.73mスパン、梁下3.5mの大きな空間を形成している。屋根面はLSL板をスパン毎に配置し、水平面の剛性を確保している。室を最低限に区切った上で、小さな中庭を各所に配置して視覚的な繋がりを保ちながら、様々な交流や活動が行える場所を用意した。