敷地は低層家屋が並ぶ住宅地の中に位置し、遠くには山梨の美しい山並みを望むことができる。
ここで暮らすこどもや相談に訪れる家族が安心できる場所となるよう、建物の高さを低層に抑えて接地性を持たせ、建物内部と外部にある自然が連続するような空間づくりを努めた。
緑豊かな中庭に、音楽室、家庭科室、図書室、図工室などを、木造平屋建てとして分散配置し、プライバシーを確保しながら時間帯によって、4つの施設の性質の異なるこどもたちで共有できる計画とした。
在所日数が長期にわたるため、こどもの成長を育む場所として、山梨の光や風、豊かな緑を感じながら、通学や放課後など何気ない時間を豊かに過ごせる仕掛けを、各所に散りばめた。建物の骨格、外壁から内装材にいたるまで、つくり手の痕跡がのこり、こどもたちを温かく包みこむような素材を吟味した。
これまでは書面のみでこどものやり取りを行っていた各施設の職員同士が、コミュニケーションを通してこどもの成長を一貫して見守ることのできる環境となり、こどもたちが安心して過ごせる温かな居場所となることを願っている。