DESIGN STORY

山梨県子どものこころサポートプラザ

こどものこころの
ケアの拠点を目指して

増加するこどもの
心に関する問題と、
ケアするための拠点づくり

近年こどもと子育てをめぐる社会環境が大きく変化し、発達障害や虐待等により、心のケアを必要とするこどもが全国的に急増している。
山梨県においても、相談体制の強化や施設の早急な拡充が求められた。
そこで従来あった「中央児童相談所」「こころの発達総合支援センター」の機能強化に加え、「児童心理治療施設」「特別支援学校」を新設し、この4施設を全国で初めて集約化した総合拠点をつくるために、このプロジェクトが立ち上がった。

こどもたちと生活を共にして

計画をするにあたり、既存施設に設計者がスタッフとして数日間常駐した。
年齢や性別、抱える問題も多種多様なこどもたちと共に過ごし、家庭では養育が困難なこどもたちが、どのような生活を送り、どのような場所を必要としているかを、実体験として感じることができた。
家庭に居場所がないこどもたちが、安心して過ごすことのできる温かな場所をつくることが、私たち設計者や建物のつくり手の使命だと感じた。

こどもが
「安心」できる場へ

敷地は低層家屋が並ぶ住宅地の中に位置し、遠くには山梨の美しい山並みを望むことができる。
ここで暮らすこどもや相談に訪れる家族が安心できる場所となるよう、建物の高さを低層に抑えて接地性を持たせ、建物内部と外部にある自然が連続するような空間づくりを目指した。
こどもたちの生活の場となる住居部分や特別教室を分棟形式にすることにより、特殊建築物でありながら木造にすることができた。
教室や通学路など身近にこどもが触れられる部分は、木の架構を現わしにし、コンクリートには杉板の本実型枠により木材の凹凸をつけた。
建物の骨格、外壁から内装材にいたるまで、つくり手の痕跡がのこり、こどもたちを温かく包みこむような素材を吟味した。

こどもを「育む」場へ

こどもの成長を育む場所として、実のなる果実を中心とした植栽や、雨どいから落ちる水に触れられ遊ぶことのできる水場など、通学や放課後など何気ない時間を豊かに過ごせる仕掛けを、各所に散りばめた。
こどもが一人になれる場所、皆で集える場所など、様々な居場所をもうけ、こどもの心を豊かに育む場を目指した。

  • こどもたちを「繋ぐ」場へ

    各施設の職員同士が、密接にコミュニケーションをとりながらこどもの成長を一貫して見守ることのできる環境を目指した。
    各施設のこどもは、被虐待児、情緒障害等があり長期入所が必要な子、発達障害があり治療・相談に来ている子など、それぞれ特性が異なるため、こども同士が交わらないようにする必要があった。
    中庭に、音楽室、家庭科室、図書室、図工室などを、木造平屋建てとして分散配置し、使用する時間帯を分け、区画を可変できるようにすることによって、4つの施設で共有できる計画とした。

  • A:中央児童相談所 B:こころの発達総合支援センター
     C:児童心理治療施設 D:特別支援学校

竣工年
2019年
所在地
山梨県甲府市
延床面積
6,812m²
階数
地上2階
構造
RC/一部W

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