DESIGN STORY

赤坂サカス

土地と街の記憶を継承し
再構築する

起伏のある地形を活かし
再生する

もともと江戸時代より、高台の武家屋敷であった計画地は、その後変遷を重ね、瀬尾根の地形は残しつつも巨大擁壁などで地形が分断され、人の流れも疎らとなっていた。当初の構想では、丘を切り崩し平地にする考えもあったようだが、人々が回遊できる緑豊かな丘を再生し、土地の記憶として未来に継承する提案を行い、採用された。急斜面にかろうじて残っていた巨大なエノキやヤマナシ、30本余りのソメイヨシノも移植再利用し、土地の記憶として赤坂の地に戻した。

街の賑わいをつなぐ

一方、足元に広がる赤坂の街は、栄華を極めた時代を過ぎて久しく、地元からも再開発に期待が寄せられていた。ここで考えたのは、街とつながること。既にある街との連続性を重視し、通りの賑わいを切らないこと、スケール感を馴染ませること、に注意を払いながら、街に圧倒的に不足していたオープンスペースと緑を付加することによって、安全性、防災性を高めつつ、快適で楽しく歩ける街空間の実現を図った。

それは、ともすると空疎になりがちな大きな広場を設ける手法とは対極の、賑わいのある小さな広場群の連なりを目指したものであり、それが赤坂の街のスケールに相応しいと考えた。賑わいが途切れがちなオフィスロビー前に対しても、別棟の店舗や植栽、ベンチなどを配置し、親密さを生み出すことによって、賑わいを連続させている。

新たな賑わいの創出

さらに、新たな賑わいを創出し街に貢献すべく、既存TBS 放送センターのエントランス前に多目的イベントスペース「サカス広場」を設けた。隣接するBLITZや赤坂ギャラリーとともにハレの場として様々なイベントに対応するため、床下にイベント用配管スペースを設けたフラットな浮き床構造とし、PC床板ジョイント部にテント設営用フックを仕込むなど、劇場空間としての機能性を確保した設えとしている。当時、ビジネス街としての様相を呈し始め、週末は閑散としていた街にあって、放送メディアのコンテンツを利用したイベント空間による集客力は、街の活性化に大きく貢献することとなった。Bizタワー南側の低層商業部分に設けた貫通通路は、サカス広場と赤坂の街を視覚的にも動線的にも強く結び付け、新たな人の流れを生み出している。

街と緑を、過去と未来を
つなぐデザイン

地下鉄赤坂駅から商業施設、サカス広場、BLITZ、ACT THEATER、緑の丘まで縦断的につなぐ動線を、つづら折りの坂道としてデザインした。それは街を立体的に眺める客席として、また、その道程自体がドラマチックな体験空間として機能しながら、駅と街と丘をつないでいる。また、建築の外壁や舗装などには、その場固有のデザインを与えるとともに、昔からそこにあったような、数十年経っても同じようにそこに在り続けるようなマテリアル、新しさよりはどちらかというと懐かしさを感じるような手触り感のあるマテリアルを選定した。それは、この建築や空間が竣工直後からその場に馴染み、いつまでも古くならないことを狙ったものだ。

古いものと新しいものが
共存する街

クライアントから常々言われていたことは、「デベロッパーはいろんな場所で開発を行っているが、TBS が行う開発はここだけだから、赤坂らしいもの、オンリーワンの設計をしてくれ」ということ。新たな都市機能を付加しつつ、人々の記憶の中にある赤坂の歴史、風景を丁寧に拾い上げ再構築していく作業を通じて、古いものと新しいものが共存した、ここにしかない街の実現に貢献できたのではないかと考えている。

竣工年
2008年
所在地
東京都港区
延床面積
218,526m²
階数
地上39階地下3階
構造
S(CFT柱)/SRC/RC

赤坂サカス

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